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[ITmedia ビジネスオンライン] 箱根やニセコの時給が世田谷超え? 観光地で賃金が上がる意外な理由

hooulra
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箱根・ニセコ、時給「世田谷超え」の衝撃 観光地で進む賃金上昇の舞台裏

「まさか、あの箱根やニセコで、東京・世田谷区よりも高い時給が提示されているとは」。2024年、そんな驚きの声が各地で聞かれるようになった。これまで、都市部、特に東京の所得水準には及ばないと思われてきた人気観光地で、平均時給が首都圏の平均を上回るという現象が起きているのだ。その背景には、インバウンド需要の回復と、それに伴う深刻な人手不足が複雑に絡み合っている。この賃金上昇は、地域経済にどのような影響を与え、今後の観光業界や働き手のあり方に、どんな変化をもたらすのだろうか。

インバウンド復活が呼び水に

新型コロナウイルスの影響が薄れ、外国人観光客が急速に戻ってきたことが、今回の賃金上昇を後押しする最大の要因と言えるだろう。特に、円安を追い風にした訪日外国人旅行者は、かつてないほどの勢いで全国各地の観光地を賑わせている。箱根やニセコといった、国内外から多くの観光客が訪れるエリアでは、宿泊施設、飲食店、小売店など、観光業に携わる多くの事業者で人手不足が深刻化している。かつては、年間を通して安定した需要が見込める都市部でのアルバイトに人気が集まる傾向にあったが、現在では、観光地の魅力と高い賃金水準が、働き手の目を惹きつけている。

「以前は、都心で働けばもっと稼げると考えていた人も多かったのですが、最近は状況が変わってきています。円安の影響もあり、外国人観光客が予想以上に多く、お店も人手が足りない。そのため、条件の良い求人が増えているんです。特に、語学力がある人や、接客経験のある人には、かなり厚遇の求人が出ていると聞きます」と、ある旅行業界関係者は語る。こうした状況は、地域経済にも好循環をもたらす可能性を秘めている。観光客が増えれば、地域にお金が落ち、それが賃金の上昇につながり、さらに消費を活性化させるというメカニズムだ。

人手不足が招く「賃金上昇スパイラル」

人手不足は、単に人材の確保が困難になるというだけでなく、事業者の間で「より良い条件で人を集めよう」という競争を促し、結果として賃金水準を引き上げる「賃金上昇スパイラル」を生み出している。特に、最低賃金の上昇も背景にはあるが、それを上回る水準で、事業者が積極的に賃金を引き上げざるを得ない状況が生まれているのだ。例えば、ある高級旅館では、ピーク時の人手不足を解消するため、時給を大幅に引き上げたという。その結果、これまで離職率が高かったスタッフの定着率が向上し、サービス品質の維持・向上にもつながっているという声もある。

「人手不足だからといって、安易に外国人労働者に頼るだけでは、長期的な解決にはなりません。地域全体で、働きがいのある環境を作っていくことが重要です。そのためには、賃金だけでなく、福利厚生の充実や、キャリアアップの機会提供なども含めた総合的な取り組みが求められます」と、専門家は指摘する。この賃金上昇は、一時的な現象に終わるのか、それとも新たな地域経済のモデルとして定着していくのか。その行方は、今後の観光政策や、地域事業者の努力にかかっていると言えるだろう。

箱根やニセコのような人気観光地で起きている賃金上昇は、単なる数字の変化にとどまらず、日本の観光業界が直面する構造的な課題と、その解決に向けた新たな動きを示唆している。この現象が、他の観光地にも波及し、地域経済の活性化と、そこで働く人々の処遇改善という、両面でのプラスの効果を生み出すことが期待される。今後、こうした動きがどのように展開していくのか、引き続き注視していく必要がある。


📰 Source: ITmedia